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2025.01.22

心を結ぶ筆の道 ~八原書道教室を運営する八原得安さん・菊恵さんご夫妻~

鳥取県米子市皆生の住宅街に佇む「八原書道教室」。この教室を運営するのは、現在96歳の八原得安さんと菊恵さんご夫妻。長い人生を通じて日本の伝統文化である書道を育み、次世代に伝え続けるお二人を訪ね、教室や人生についてお話を伺いました。

教室には、小学生から80代まで幅広い年代の生徒を指導し、地域に根ざした書道教室として53年の歴史を刻んできました。

書道を始めたきっかけは夫婦の新たな趣味

八原ご夫妻が書道を始めたのは、40歳を過ぎたころのこと。転勤先で始めた趣味がきっかけでした。最初に書道に触れたのは菊恵さん。お茶の先生から勧められたことがきっかけで教室に通い始めました。その後、得安さんも書道に興味を持ち、一緒に始めることに。菊恵さんは当時を振り返り、「先に始めたのは私だけど、主人は書道に向いたセンスがあったから、みるみるうちに上達していったの」と笑顔で語ります。

趣味として始めた書道は、夫婦の新たなつながりを生み出し、やがて師範の資格を取得するほど熱中する存在に。書道を通じて深まった二人の絆が、教室運営の原動力となっています。

皆生の地で始まった教室

1971年、得安さんの実家でもある皆生に書道教室を開いた八原夫妻。それから半世紀以上、親子二代にわたって通う生徒もいるなど、地域に愛される教室として続いています。「生徒が賞を取ったり、昇段したりするのがとても嬉しい」と話す得安さん。その喜びは生徒の成長を支えた努力と愛情が生んだものです。

また、ご夫妻にとって書道は単なる教える仕事ではなく、人生におけるかけがえのない宝物だといいます。「書道を通して、自分たちも多くのことを学び、得ることができた」と語るその表情は、満ち足りた人生を象徴しているかのようです。

日本の伝統文化を極める

菊恵さんは書道のほかにも、茶道や華道、和裁の先生としても活躍していました。現在は裏千家の茶道の正教授として生徒に指導しています。「日本の伝統文化である書道、華道、茶道の三道を極めるなんてすごいですね」と声をかけると、菊恵さんは「昔の人は誰でもやっていたことよ」と謙虚に答えました。その姿勢に、日本の伝統を守り続ける静かな誇りが感じられます。

また、得安さんは「水墨画500選」にも選ばれるほどの腕前を持つ方です。書道の延長として水墨画にも精通していることについて「書道をやっているんだから、特別なことじゃないよ」と笑いながら話すその言葉に、達人の風格が垣間見えます。

 

書道がもたらす宝物

お二人にとって、書道は夫婦の時間を豊かにするだけでなく、教室を通じてかけがえのない宝物。生徒との絆、教室での思い出、そして書道を通じて得られる心の充実感。96歳という年齢を迎えながらも、お二人の情熱は衰えることを知りません。

八原得安さんと菊恵さんご夫妻が運営する八原書道教室は、日本の伝統文化を未来へと紡ぐ大切な場です。お二人のように書道を愛し、伝える存在があることで、私たちは伝統の豊かさを再認識することができるのではないでしょうか。

八原菊恵さん