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2026.01.28

本との出会いが人生を変える―カイケノマド本棚オーナー・木村さんインタビュー

米子市出身で、子供の頃から本を読むのが好きだったという木村さん。人生の節目節目には、大事なことに気づかせてくれる本との出会いがあったと語ります。
好きになると同じジャンルの本を読み漁り、その知識を自分の人生に活かしてきた木村さんに、カイケノマドの本棚オーナーとして、本との向き合い方について話を伺いました。

「それって本当に正しいの?」と問いかけた一冊

今から23年前、23歳だった木村さんが出会った一冊の本、橘玲著「世界にひとつしかない『黄金人生設計』」。
「公的年金、公的保険、ローン、生命保険…学校では教えてくれなかったお金の知識が、ここにはすべて書いてあったんです。学校の勉強と違って、実生活に実際に生きる知識だったんですよね」。
それまで当たり前だと思っていたことが、実は「本当にそうなのか?」と疑問を持つべきことだと気づかされた衝撃。木村さんは語ります。
「それまでは情報をただ受けているだけでした。でもこの本をきっかけに、物事に対して『それって本当に正しいのかな』と考えるようになったんです。」
これが私の思考を変えてくれたきっかけでした。

「当たり前」を疑う大切さ。
この本が問いかけるのは、私たちが何も考えずに受け入れている「常識」への疑問です。

  • 当たり前のようにローンを組んでいるけど、それ、本当に正しいですか?
  • 生命保険って、自分に必要な分だけ入っていますか?
  • 高級車や時計は、本当に自分が欲しいもの? それとも人に見せびらかすため?

木村さんはこの本を通じて、「本質的に自分が欲しいと思って、本当に自分に対して価値のあるものにお金を出す」という考え方になったという。
特に印象的だったのは、日本の公的制度についての気づきです。
「日本には世界的にも充実した公的保険制度がある。そういった公的な保障を知った上で、自分に必要な保険を選ぶことが大切」。
健康保険で3割負担、高額医療費制度もある。それなのに、過剰な保険をかけているのではないか。そんな疑問を持つきっかけになったといいます。

若いうちに知ることの価値。

木村さんは、23歳という若い年代でお金の知識を得たことは本当に良かったと話します。
「定年間際や年金をもらう間近に知ったところで、何の改善ができるかといったら、改善できない。早くに知っていたら、何をどうするか考えられる」。
この本との出会いをきっかけに、木村さんはファイナンシャルプランナーの資格を取得。過剰にかけていた保険を見直し、その分を貯蓄と投資に回すなど、具体的な行動に移しました。
「知識を得ただけで何もしなかった人と、それを活用した人とでは、20年以上経った今、全く違う人生を歩んでいると思います」。
インタビューの中で、木村さんは現在の金融教育の課題についても語ってくれました。
「義務教育で年金のことをどの程度触れているのであろうか…。なぜ自分たちの年金のことを学ばないんでしょうか。知識がないから、保険の選択にしても、言われたままのことをやってしまう」。

木村さんの言葉には、自分で考え、判断する力の大切さが込められています。

年代で変わる、人生と本の関係

木村さんの読書遍歴は、年代ごとに変化してきました。

  • 10代:小説などのフィクション作品を手当たり次第に読む。
  • 20代:『黄金の羽根の拾い方』をきっかけに、お金関係の本を読み漁る。
  • 30代:司馬遼太郎や村上春樹など、思想的・歴史的な作品にはまる。
  • 40代(現在):ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』など、人類史の本に夢中。

「一度はまると、そのジャンルをダーッと読み漁るんです」と木村さんは笑います。

今、木村さんが夢中な本、ジャレド・ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄』
この本について、木村さんは目を輝かせながら語ってくれました。
「なぜスペインがたった数百人でインカ帝国を制圧できたのか。それは武力だけじゃなくて、病原菌が大きな要因だったんです」。
でも、話はそれだけでは終わりません。
「その背景をさかのぼると、農耕の発達、食料の安定供給があります。食料が安定すると、食料を生産しなくても生活できる人が出てくる。その人たちが学問や技術に人生を捧げて、文明が発達するんです」。
つまり、地域による文明の差は、その土地の環境によって生まれたもの。歴史を大きな視点で見ると、新しい発見がある。
「歴史を紐解く面白さがあります。こういう本に出会えるのが、読書の醍醐味ですね」。

司馬遼太郎作品は全部読みたい!

書籍の中で木村さんが愛してやまないのが、司馬遼太郎作品。
大阪の司馬遼太郎記念館を訪れた際のエピソードは、今でも印象的だといいます。
「司馬遼太郎さんは、新選組のことを書こうと思ったら、本をトラックで乗り付けて、根こそぎ買っていくんです。読み荒らして作品にする。その蔵書が6万冊、記念館にバーンと飾ってあって、圧巻でした」。
坂本龍馬が司馬遼太郎作品で有名になったことなど、木村さんは深い知識を持って色々と教えてくれます。
「死ぬまでに司馬遼太郎作品を全部読みたいですね」と、その思いを語ってくれました。

なぜ今、「本」なのか?―YouTubeにはない、本の力

情報があふれる現代。YouTubeで要約動画を見れば、手軽に知識が手に入る時代です。
それでも木村さんは、本の持つ力を語ってくれました。

「今は情報を自分から取りに行く時代ですよね。でも、本は与えてくれるんです。取りに行くのではなく、与えられたものに対してどう考えるか。受け取り方を考える時間が取れるのが、本のいいところだと思います」。
要約動画は効率的かもしれない。でも、本を読むことで得られる「考える時間」「立ち止まって自分に問いかける時間」は、他のメディアでは代えがたいものだと。
本は、ただ情報を与えるのではなく、考えるきっかけをくれる。
それが木村さんの本への向き合い方です。

本との出会いが人生を豊かにする

月に2〜3冊、時にはゲームに夢中で全く読まない時期もあるという木村さん。それでも、人生の節目節目で出会った本が、確実に人生を変えてきました。
カイケノマドの本棚には、そんな木村さんが選んだ、人生を変える可能性を秘めた本が並んでいます。
「本は、考えるきっかけをくれる。当たり前だと思っていることも、一回考えないといけない。そういう本との出会いが、カイケノマドにあるといいなと思います」

カイケノマドは皆生温泉エリアを拠点に、地域の魅力を発信する交流スペース。本棚オーナー制度を通じて、さまざまな人の「人生を変えた本」が集まる、知的好奇心を刺激する場所です。