第14回 米子市都市景観施設賞 景観づくり部門で受賞しました!

米子市内で平成元年度以降に建築・建設等されたデザインに優れ、良好な都市景観の形成に貢献されていると認められる民間施設が対象に行われた、令和5年度の米子市都市景観施設賞の施設として「皆生温泉エリア経営実行委員会」の活動が選ばれました!

温泉地としての魅力を磨き上げ、「選ばれる温泉地」になっていくため、当実行委員会では、「日帰り駐車場の検討」、「夜の灯り」、「空き物件の活用」、「海・砂浜の通年利用」、「公園・海岸遊歩道の有効活用」といった切り口で、温泉街の滞在環境を整えるため、地域住民や事業者のみなさまからの意見を踏まえたエリアデザインの検討や、環境整備にあたっての実証実験等を実施。宿泊客だけでなく地域住民や日帰り観光客にも愛される温泉地をめざしています。

今回、受賞の主となったのは、景観づくりの取り組みとして、地域住民・観光客の散策や、休憩の機会を創出し。イベント時には「つながる拠点」としての活用を目指し、皆生温泉の遊歩道に整備した3つの滞留拠点づくりです。

この取り組みは令和3年8月から検討が始まり、現在は海岸沿いの3つの宿泊施設の敷地の一部を活用した形でウッドデッキ、木製ベンチやテーブル等が設えました。ウッドデッキやベンチの設置と共に周辺の植栽も丁寧に管理している点や、休憩場所の提供と緑の潤い、海岸景観への眺望等、様々な景観要素を楽しめる場所の提供が目指されている点などが、景観づくりの活動として高く評価されました。

3つの拠点だけじゃない!!実行委員会が取り組む「生きた」景観

もちろん、皆生温泉エリア経営実行委員会の「景観」への取り組みはこの3つだけではありません。実行委員会では、「生きた景観」の観点を持ち、様々な側面からまちを捉えた景観へのアプローチを行っています。単に「目に見える眺め」としての景観だけでなく、そこから感じる印象や価値観の変容、その場から生まれる営みや仕組みづくりまでとらえた景観への取り組みを行っているのです。

例えば《営み》としては「ぐるぐるかいけ」や「スイッチ広場」などがあります。今よりも、もっとここちいいまちの姿を、少しずつみんなに見えるように景色を変えていきます。

ぐるぐるかいけで生まれる海浜公園の新しい姿

スイッチ広場で見えてくる、ちょっとしたまちの変化、コミュニケーションの変化

《空間》を演出していくのも「生きた景観」のアプローチです。ウッドデッキやベンチを整備したり、松林のフェンスを取り外し可能な木柵に変えたり、目線に入るものの形状を変えたりしてきました。通り沿いに座れる場所ができただけでも、座った目線からは、また少し違ったまちの姿が見えてきます。

カイケラボのスクールを通じて整備まで行った松林前のデッキ

さらに言えば、この多様な主体が参加してまちづくりに取り組んでいる実行委員会の仕組み自体も「生きた景観」のアプローチなのです。屋台レンタルの仕組みや、akippaによる駐車場の流動化もそうです。まちは止まっていては活性化しませんし、様々な仕組みが動いているまちは、どんどんここちいい眺めへと育っていきます。人が歩き、多様なコミュニケーションがあり、豊かな日常が過ごせる・・・そんなまちの姿=生きた景観なのです。

実行委員会で行うワークショップには、地域の高校生の参加なども増えてきた

もこれらの取り組みが評価されたことは、大変光栄なことです。今後も、この取り組み自体が、皆生温泉の新たな魅力として多くの方に親しまれるとともに、地域活性化に貢献できるようエリア経営実行委員会も、カイケラボも、さらに様々な取り組みを進めていきます!!

場所の使い方や、人の考え方や…色んなものを切り替えて。

 昨年も皆生温泉では、様々なまちづくりに関するワークショップやスクールが開催されたり、海沿い遊歩道の夜間照明が刷新されたり、ぐるぐるかいけも開催回数を増やし新たな観点の実験に取り組んだり、様々な取組が行なわれてきました。

そんな中、皆生温泉エリア経営実行委員会発足当初から、絶え間なく、毎月開催している取組が『水一(スイッチ)広場』です。毎月第一水曜、実行委員会の定例会開催後の夕方5:30頃から開催していて、皆生温泉に関わる様々な方が自由に参加しています。とっても気軽な井戸端会議の場で、まちづくりについて語り合ったり、近況を報告しあったり、情報交換したり、参加する目的はなんでもOKです。

あったかいおでんにはついつい引き寄せられますね(^^

 

2024年1月10日(水)には、今年1回目となる水一広場を開催。この日は、年末に新しく誕生した四条通松林前のベンチのお披露目を兼ね、寒い時期の屋外でも楽しく過ごせるようなコンテンツで松林の使い方をスイッチし交流する企画としました。あいにく天候が悪く観光センター内での開催となりましたが、寒さを楽しく過ごすためのコンテンツはセンター内でも大活躍。おでん・とん汁・日本酒といった三者三様の屋台に、自治会の方や近所の方、通りがかりの方も引き寄せられ、新たな交流も生まれる場となりました。今年のまちの動きの予定や、最近の困りごと、ご近所の様子など様々な会話があり、中には「○○のあたりの街灯が最近暗いようだけど切れてるんだろうか?」といった日々の暮らしに関わる情報交換も出てくるようになりました。

 

元々、水一広場は、「あまり有効に使われていないもったいない場所(空きスペースなど)をスイッチ(新しい使い方)してみてよりよい使い方に繋げよう」という試みや、「そういった使い方の実験や交流を通してまちに関わる自分たちやみんなの意識をよりよいものへスイッチしていこう」という様々な想いを込めて開催しはじめたものです。当初は実行委員会関係者や事業者が参加の中心でしたが、毎月毎月開催するうちに、どんどん気軽に様々な方が参加できる『場』になってきました。

新しい発見や取引につながったりすることがあるのもおもしろい

 

水一広場は、もっともっと楽しい皆生を目指して、もっともっと気軽に皆生を語る場を目指していきます。毎月第一水曜、夕方5時半ごろから夜8時頃まで、皆生温泉内で場所を変えながら基本は屋外ですが、天候が悪い時や取組によっては、今回のように観光センターで開催しています。この観光センターも、リノベーションされていくかも!?なので、ますます楽しくなりますよ♪まずは一度ふらっとお越しください。毎月の場所や内容はHPやSNSで!!

これまで開催した水一広場。形もメンバーもさまざま。

これまで開催した水一広場。形もメンバーもさまざま。

皆生温泉をもっともっと楽しく、ぐるぐると動かしていく。

 皆生をもっともっと楽しい場所にしていくために、あまり有効に使われていないスペースを有効活用しながら、ちょっと未来の皆生の日常を実証実験している「ぐるぐるかいけ」。
11月25日(土)の今回は、皆生温泉街のメインストリートである四条通りを、子供たちの遊び場・体験の場に変身させる『ぐるぐるかいけキッズストリート』として開催しました。この取り組みは、「子ども達が安心して楽しめる歩行者空間や滞留空間であれば、ユニバーサルで誰もが楽しみやすい通りや空間が実現できるのでは?」という仮説の基、そんなまちの実現可能性を探り、課題を洗い出し、よりよいまちづくりにつなげる実験としました。また、地域の子ども達が豊かな体験ができる皆生温泉であれば、将来働きたくなる場所であったり、暮らし続けたくなる場所でもあり続けられるだろう…という想いも込めています。

キッズストリートではまず、四条通の路上の一部に交通規制をかけて歩行者天国化。子ども達が自ら工夫を凝らした商品を屋台に並べた「キッズマーケット」を開催しました。大人たちのフード出店やドリンク出店と並んで楽しい空間を演出しました。中には、形ある商品だけでなく「体験」を販売する子ども屋台も登場し、お客さんに楽しんでもらえる工夫を学ぶいい機会にもなったようです。

また、四条通の一角で大切に守られ続けている松林も開放され、もっともっと有効活用していく手法を実験しました。海辺に位置する皆生温泉の特色である松林を、これからも、大切にしつづけるための取組です。ひろびろと、木漏れ日のここちいい松林の環境を活かし、音楽を奏でたり、松ぼっくりで工作を楽しんだり、環境を活かした様々な試みを行いました。さらに、開放された松林の出入り口には、これまで充分に活用できていなかった道路脇の植樹帯を利用したベンチも設置。たくんの方々が腰かけておしゃべりを楽しんだり、飲食を楽しんだり、松林と道路空間のつながりが生まれ、新しい四条通の楽しい姿が垣間見えました。

松林で奏でる太鼓の音色に 自然と子ども達も体がはずむ

 

1回100円の楽しすぎる「てつどう」モビリティも誕生!!

1回100円の楽しすぎる「てつどう」モビリティも誕生!!

 

歩道と、新設したベンチと、松林の一体感がここちいい

歩道と、新設したベンチと、松林の一体感がここちいい

この他にも、歩行者天国には各所にくつろげる簡易ベンチを設置したり、遊べる空間を演出したり、様々な工夫を実験しました。これにより、周辺のお店のお客様もいつもよりも増えたようです。
今はまだ「実験」としてのまちの姿。でも少しづつ、みんなが心地いいまちの姿は、見えてきているのではないでしょうか?その姿を「日常」にしていくため、皆生に暮らすみなさま、こんなまちづくりに興味のあるみなさま、もっともっと遊びたいみなさま、ぜひぜひカイケラボの様々な活動に関わってみてください!!

遊んで、学んで、ふれあって…子どもから大人までここちいいまちの姿

遊んで、学んで、ふれあって…子どもから大人までここちいいまちの姿

 

たくさんの人の想いと活動で支えられている美しく、たのしい海

  2021 年8 月、皆生温泉エリアの魅力を高め、宿泊客だけでなく地域住民や日帰り観光客にも愛される温泉地をめざしていくため、民間も行政も連携した組織として設立した「皆生温泉エリア経営実行委員会」。2023年11 月現在、2 年強の間で行ってきた取り組みは、多岐にわたります。日帰り駐車場の不足問題を解決していくためにはakippa さんと連携し130 台の駐車場を確保しました。未利用地を有効活用していくためには「ぐるぐるかいけ」や「水一広場」などの実験を行っています。それらの取り組みを更に持続可能にしていくための人材発掘も「エリアデザインスクール」などで行っています。「空き物件ツアー」の効果もあり、新たな出店にもつながってきました。
このように様々な取り組みが、約2 年の間に生まれてきた背景には、実行委員会設立当初から関わる皆が意識してきた姿勢があります。それは『妄想』して動いてみるという姿勢です。

その姿勢は、2023 年11 月18 日、エリア経営実行委員会で主催した『ぺちゃくちゃかいけ』の井戸端会議スタイルにもしっかり現れています。この日、井戸端会議の中心に据えられたのは、未来の楽しい皆生温泉の姿を表現した4m もの大きな『妄想模型』。それを囲んで、集まった皆が「自分はこんなお店が欲しいな!」「松林でこんなことができたら楽しいんじゃない!?」など、新しい妄想をさらに模型へ書き込んでいきます。計画ではなく妄想だからこそ、新たに参加した人も、誰でも案を出し盛り上がっていけるのです。

小さなお子さんももちろん参加OK! 恐竜も歩けるまちいいね(^^♪

小さなお子さんももちろん参加OK! 恐竜も歩けるまちいいね(^^♪

こうしたワークショップスタイルは、委員会設立当初から続けており、この妄想模型は様々な人の様々な案を吸収しながら育ってきました。妄想模型を実際に作って頂いている株式会社設計領域の山田幸長さんは「皆生温泉の取り組みではじめに作ったのはもっと大まかにまちを捉えた1/600 の模型でした。それで当初ワークショップをした際に〈日帰り駐車場に困っているけど、以外と有効に使えていない駐車場が多いよね…だったら…〉と現在のakippa の取り組みにつながりました。その後も模型を見た人が、自分が本当に欲しいものを妄想して、案を出してくれる。誰もが‘主観’で考えるから、突拍子もないものも出てくる。それをまた模型の中に表現していく。妄想模型は本当に楽しそうなまちになっていっています。」と、うれしそうに語ります。

砂浜から海へ伸びる桟橋もこれまでの妄想で実際出た案を基に模型化

砂浜から海へ伸びる桟橋もこれまでの妄想で実際出た案を基に模型化

実行委員会の活動は、これからもまだまだ続きます。その活動は、地域のみなさんの「自分はまちにこんなものが欲しい!!」という妄想が原動力です!! また次のワークショップの機会や、イベントの機会などには、ぜひぜひご参加いただいて『妄想』お聞かせくださいませ!!

女子高生からの意見も次々と飛び出しました‼

女子高生からの意見も次々と飛び出しました‼

 

「孫さん、ウェルビーイングって何ですか?」

皆生温泉エリアで目指す「ウェルビーイング」。最近、いろんなところで耳にするこの言葉だけど、どんな意味なんだろう?「まち」「温泉」とどんな関係があるの?映画製作や即興劇、路上での健康相談など、様々な方法でウェルビーイングを高めるための活動を実践、研究する孫大輔さんに「ウェルビーイング」について連載していただいています。

「銭湯」が地域のウェルビーイングに果たす役割

前回のコラムで「地域のウェルビーイング」を高めるには「ゆるいつながり」や「寛容性」が大事だという話を紹介しました。私が東京の下町エリア「谷根千(やねせん)」(谷中・根津・千駄木)でフィールドワークをしたとき、まさに地域の「ゆるいつながり」を象徴するような話を聞きました。それは「銭湯」です。その地域に詳しい女性が「地域から銭湯が無くなると、人々の生活に大きな影響がある」というのです。今では谷根千地域には銭湯が数軒しか残っていませんが、最盛期の1960〜70年代には100軒近くの銭湯があったそうです。当時は自宅に風呂がない人も多く、たいての家から歩いて数分のところに銭湯があったようです。そこでは、さまざまな交流やコミュニケーションがおこっていました。

私たちの研究グループが、銭湯に長年通い続けているという地元の女性たちにインタビューした際、銭湯では「背中の流し合いコミュニケーション」があるという話を聞きました。銭湯の常連さんだと、新顔の人が入ってきたとき、その人の雰囲気をみて、「背中流しましょうか」と声をかける。そこからいろんな世間話をして人の輪ができるんだそうです。その方は「背中を見ると、声をかけてほしい人かどうか、だいたい分かる」とおっしゃっていました。まさに「裸の付き合い」と言えるでしょう。その他にも、銭湯では多世代交流や親子支援のようなことも起きていました。若いお母さんが赤ちゃんや子供と一緒に銭湯に来ると、常連の女性が子供の面倒を見て、その間にゆっくりお母さんにくつろいでもらったりしたそうです。また、そうした中で育児などの相談に乗ってもらうこともでき、子育てサポートの場としても銭湯が大きな役割を果たしていたようです。

銭湯のように地域の人々がゆるくつながれて、多様な形のつながりが生まれる場というのは地域においてとても重要です。「サードプレイス」という言葉もありますが、たまり場のように人々がゆるく集まって交流できる場が、地域のウェルビーイングを高めると考えられます。皆さんの住んでいる地域にはそのような場所があるでしょうか。私は、町のカフェでゆっくり珈琲を飲みながら過ごすのが好きなのですが、お店によっては店主や他のお客さんと話がはずむようなところがあります。そういうお店は地域の人の交流の場となっていることが多く、まさに「銭湯」のような場として機能しているのでしょう。

孫大輔 家庭医(総合診療医)/鳥取大学医学部地域医療学講座講師

「孫さん、ウェルビーイングって何ですか?」

皆生温泉エリアで目指す「ウェルビーイング」。最近、いろんなところで耳にするこの言葉だけど、どんな意味なんだろう?「まち」「温泉」とどんな関係があるの?映画製作や即興劇、路上での健康相談など、様々な方法でウェルビーイングを高めるための活動を実践、研究する孫大輔さんに「ウェルビーイング」について連載していただいています。

地域全体のウェルビーイングを考える

前回のコラムでは、個人のウェルビーイングについて、心理学者セリグマンのPERMA理論やアリストテレスの幸福(エウダイモニア)概念から、その意味を解説しました。個人のウェルビーイングは「快楽」の状態だけではなく、「人生の意義・意味」を感じられる状態にあるかということも関係するという話でした。

それでは、地域全体のウェルビーイングのような集合的なウェルビーイングについて皆さんは考えたことがあるでしょうか。例えば、自分の故郷や住んでいる街のウェルビーイングはどうでしょうか。「住みやすい街ランキング」なるものがありますが、「住みやすい」地域というのは一体どういうことなのでしょうか。

地域住民のウェルビーイングを快楽的な要素と幸福(エウダイモニア)的な要素に分けて分析した論文があります。その結果、快楽的ウェルビーイングは、余暇があるか、人間関係・家族関係が良好かということと関連しており、エウダイモニア的なウェルビーイングは、仕事が充実しているか、就職できているかといったことと関連しているという結果でした。つまり、地域のウェルビーイングは地域住民同士のつながりや仕事の充実度などに左右されそうです。また、都道府県ごとにウェルビーイングを比べてみると、沖縄県と奈良県がとても高く、この2つの県の特徴として地域の「寛容性」が高いということが挙げられました。これは「他者の多様な生き方に対して地域がどのくらい寛容か」ということです。

「寛容性が高い地域」とは、そこに住まう人々がどんな生き方をしていても、それを適度に放置して見守ってくれる社会と言えそうです。これと関連する別の研究結果があります。日本で一番自殺率が低い町(徳島県旧海部町)を調査した研究では、「ゆるいつながり」という特徴が挙げられました。具体的には、隣近所の付き合いは「挨拶程度」で、必要以上に介入しない。他人の評価は「人物本位」で、家柄や地位・肩書で評価しない。しかし困った人がいるときはいつでも援助をさしのべる。この町には、他者に対する寛容性がありながらも、ほどよい「おせっかい」が存在する、そんな特徴があるようです。

「ウェルビーイングな地域」をいかにつくっていくかというのは、簡単なことではありませんが、こうした「寛容性」や「ゆるいつながり」、ほどよい「おせっかい」というキーワードを軸に考えていくと良いのかもしれません。

孫大輔 家庭医(総合診療医)/鳥取大学医学部地域医療学講座講師

参考文献:
1.有馬雄祐. 地方創生のための寛容性と幸福の分析.
(地方創生のファクターX:寛容と幸福の地方論).
LIFULL HOME’S 総研. p.96-115, 2021.
https://www.homes.co.jp/souken/report/202108/

2.岡檀. 生き心地の良い町:この自殺率の低さには理由(わけ)がある.
講談社, 2013.

「日本海が見える宿で、蟹を食べて温泉に入れますよ。タダで!」

見るからに怪しい男の、詐欺師の常套句のような誘い文句に、まんまと釣られたアラフォー女4人衆。
デザイナー、イラストレーター、コピーライター、全員が地元のクリエイターであるという業種の偏りにも、思えば最初からちゃんとフラグが立っていた。

宿に到着して車を降りると、波の音にいてもたってもいられず砂浜へ直行。
皆生グランドホテル天水はすぐ横が砂浜&日本海の大パノラマ。旅行気分がマックスになる女達(地元だけど)。
「日本海って“ちょっと乱暴な男”って感じでいいよね」「砂浜キレイ〜!」「サメ出そう」。さっそく思い思いに浸っていく。

ここが私のアナザースカイ! #来たことない

クリエイター業界の戦場「年度末」真っ只中の招集であるにも関わらず、うきうきと集まった女達(1名が安定の遅刻)。
本当の趣旨は「皆生のレンタル屋台・使い方大喜利50案出すまで眠れません合宿」だと聞いても
「楽しそうー!」
「全然いけるでしょ」
「蟹食べれるならなんでもいい」
「蟹どこ?」
と、動じる様子もない。そう、これが「年度末ハイ」。

屋台はレンタル可能!あなたならどんな使い方をしますか? 詳しくはこちら→

わ〜!ここが今日のお宿か〜(棒)

部屋に着いて荷物を置いて窓を開けて缶ビールを開けるまで、その間およそ1分。
お部屋は全室オーシャンビューの絶景!!!日々の忙しさも、締め切り間近のあの仕事も「忘れちゃえよ」と冬の日本海が抱きしめてくる。
穏やかな海もいいけど、波音大迫力の海って包容力が半端ない。

お部屋からの日本海

 

色んな意味で顔出しNGの女達は、さっそく己の身を守る仮面づくりを開始。

好きなものをモチーフにする人、苦手なものをモチーフにする人、なんかよくわからない人。
「お腹減った…ごはん何時かな」「温泉いつ入る?」「この海サメいるかな?」と騒いでいたのに、作り始めたとたん無言で全集中・仮面の呼吸。
言われたままにやる20代。言われた通りにやらないアラサー。なんだかんだ言ってもやることはやる、それがアラフォー。

焼き芋仮面をつくってる

謎の顔仮面ができた(笑)

 

「撮っても良いよ?」と言ったのに丁重に断られた温泉へ。
これまたオーシャンビューで最高…。実は皆生グランドホテル天水・華水亭が独自に掘り出した自家源泉だとか!!
「え、源泉って自分で掘れるんだ!!?」
「お湯がちょっとしょっぱい気がする!」
「海がめっちゃ見える」
と全裸で大はしゃぎする女達。

全裸で大はしゃぎする女達をイメージしています

日本海の水平線、少しずつ夜に向かう空、心地よい波音に包まれる、雰囲気抜群の露天風呂でも、
「なんかおいしそうな匂いしない?」
「お肉じゃない!?お肉!」。
宿についてから9割がご飯の話。

遅刻の1名も、高速でETCじゃない方に突っ込んだり、ガス欠ギリギリになったりと、
なぜか一人でセルフ試練を乗り越えて無事(?)合流。
全員そろったところで念願の、蟹!酒!あ、ついでに大喜利も!

イカ面(左奥)、鮫面(左前)、焼き芋面(右奥)、謎面(右前)、
山陰のファンタスティック・フォーがやっと揃う(以下呼び名:イカ面、鮫面、芋面、謎面)。
何はさておき…

「かんぱーーーい!!!年度末おつかれさまーーー(まだ終わってない)!!」


信じられないだろ?これ全部バイキングで食べ放題なんだぜ…?とりあえず器多!!
お刺身、お寿司、揚げたての天ぷら、その場で焼いてもらえるやわらかお肉、
そして…やっと会えたね!!蟹!!

真っ先に蟹に群がる女達。写真だと伝わらないけれど、小声で「蟹蟹蟹…」と言っている。

蟹が似合いすぎる謎面。

はやくも飽きはじめて肉に行く鮫面と、蟹を枝豆みたいな食べ方するイカ面。

パイプのように蟹を吸う芋面と、食べ方がずっと間違ってそうな謎面。

「この部位、身がとりやすいよ!」
「蟹ほじるのって疲れるよね」
「蟹の身をほじってくれるロボット開発されんかな」など好き勝手言いながら、蟹をひとしきり堪能。
天ぷらも揚げたてでおいしい・・・。
お塩で食べるお肉もやわらか甘い〜〜。
おなかパンパンになるまでしこたま食べて飲んで、やっと大人しくなった女達。
明らかに「布団しいてダラダラしたい」という空気が流れつつある。

やばいと思った企画サイドが「さぁみなさん、いよいよ屋台使い方大喜利ですよ!」
と声をかけて、夢のような宴が幕を下ろす。

後編(ようやく本編!地獄の大喜利合宿スタート)

何度も言うように、なんだかんだ言ってもやることはやる、それがアラフォー。
部屋にもどったらそれぞれ屋台のアイデアイラストの作成に真面目にとりかかる。
もちろんしっかりとお酒を補給しながら!マジック、クレパス、色鉛筆、などなど道具は準備万端!さすがイラストレーター。

鉛筆で下書きをしたり、書きたいモチーフのディテールを調べたり。
「皆生温泉らしさってどんなんだろう?」
「やっぱり海は絡めたいよね?この場所ならではだし」
「え、待ってこれ楽しいね」。
とても飲酒しているとは思えない本気度。
むしろこの人達は飲酒してるほうが集中力が増すような気がする。
通常業務でも飲酒させることを推奨します!4人の各社の社長のみなさま!

幅約90cm 、高さ約170cmくらいの小さな屋台。
レンタルもできて自分たちで動かせるから、すでにいろいろ使われてもいる。
それらと被りすぎず、「あ、こんな使い方もありなんだ〜」と思ってもらえて、斬新でクリエイティブな…50案。
「これ50案出せなかったら?」と聞いてみると
「時間は朝まであるんで。お願いします(ニッコリ)」。

じわじわ企画の大変さに気づきはじめた4人衆。
描くのに飽きてプロのカメラマンが撮ってくれるのをいいことに写真で遊び始める。
ちなみにカメラマンもしっかり仮面着用。見えないところまでこだわる、それがクリエイター。

そしてやってきた魔の時間帯。
「思いつかない・描き疲れた・眠い」の三拍子。絵に書いたようにだらけはじめる。
「もっと時間を!または酒を!」4人のアイデアが被らないように避けているため、さらにハードルが高い。
話し合いすぎると引っ張られてしまう!全員敵だ!孤独な戦いに突入していく。

「その場所だけは危険だと言ったのに…」謎面がついにベッドへダイブ。帰還できるのか!?

続いてイカ面もダウン。束の間の休息。謎面はなんとかベッドから這い出してきた。鮫面と芋面はその様子を横目に「裏切りのラストスパート」をかけている。

ちなみに、この宿に来てから当たり前になりすぎて言っていなかったが、部屋にも波音が聴こえてものすごく癒やされる。
夜の日本海を見て、波音を聞いて、パワーを蓄えて、いざ「酒種を変えよう!」と一致団結。
ビールを飲み飽きた女達はウィスキーとジンをソーダで割ろうと企む。
氷がなくて困り果て、フロントに相談すると「夜釣りかな??」ってくらいの氷をいただけた!!
感謝!!(通常は対応しておりませんので、氷はご持参ください。)

お酒も変えて気分も変えて、おやつやおつまみも注入したところで、再スタート!
クリエイターになりたての新人の頃、デザインもイラストもコピーも、100本ノックの勢いで考えた日々があったな。
今思えばアイデアは「数出しゃいい」ってもんじゃないけど、でもやっぱりあの経験は尊い。
頭を絞って絞って、そのことを一番考えた人にしか降りてこないアイデアがある。
酸いも甘いも知っているアラフォー達。

 

仮面とゲソでイカ全身が完成していたイカ面。

絞り出すことおよそ5時間。
4人がかりでようやく50案達成!!!!
「達成感がやばい」
「手が痛い」
「一刻も早くメイクを落としたい」。
お肌と体のことを考えて、目標を24時と掲げていたところ、23時55分に終了!
クドイようだが「なんだかんだ言ってもやることはやる、それがアラフォー!」。
年度末で癒しに飢えてる女達を、最高の温泉と蟹とお酒でもてなし、逃げられない状態にしてアイデアを出させる。
これぞ飴と鞭の使い手!!
結局すべてが企画サイドの手のひらの上で踊らされていた…
うん、私達そういうの嫌いじゃないよ!
達成後は他の人の案をみて笑ったりツッコんだり、祝杯を上げながら(まだ飲む)、
最高の気分で眠りにつく女達だった。

前日の死闘が嘘のように綺麗な朝の海。
朝温泉の後、朝ごはんを堪能。
「ふだん朝ごはん食べないからコーヒーだけでいいかも」と言っていたのに、
湯豆腐とか、だし茶漬けとか、女心をくすぐるラインナップにそそられてまんまと完食。
「なんやかんや、文化祭前夜みたいで楽しかったね」
「この企画定期的にやりたい」
としゃべりながら身支度を整えて、しっかり館内でお土産も買って、
またそれぞれの戦場に帰っていく4人だった。


「本当にありがとう!ぜひ次回は年度末以外でお願いします!!」

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50案出すまで眠れません合宿の結果報告!!

やってみたいアイディアがあればご検討ください笑

ディテールまで蟹にこだわった作品です。お金「など」ってなに?

ただのイカではなく「白イカ」にこだわったところがとても皆生愛。

海で「どうしてもウクレレが弾きたい」そんな時も安心!

少し溶けたうさぎのマシュマロとイチゴソースがグロかわいい!

サボテンは太陽サンサンの浜辺にぴったり!

ビーチ×クリームソーダは映えること間違いなし。

塩一本で勝負するところが◎海塩だとより粋ですね。

砂浜で竜宮城コスプレは間違いなくフォトジェニック!

実は皆生はトライアスロンの聖地!実用性バツグン屋台◎

町のどこかに潜むターゲットを探す!子ども達がよろこびそう◎

飾っても綺麗だし、浜もキレイになるし、一石二鳥ですね。

皆生=トライアスロンをはじめ、アクティビティする人も多いからこれは嬉しい!

結局、蟹ってことですね。

海で淹れたてのコーヒー飲みながら読書って最高。

見ず知らずの人からのシンプルなエールって意外と嬉しいもんです。

「上手=JAWS」って言いたかっただけじゃない!?

珈琲でも日本茶でもないところがオリジナリティあって◎くろもじの香り好き!

石にこだわってるところにガチ勢の香りがする。

屋外であることを最大限に活かす!周り気にせず燻れる!

ノマドワーカーの必需品、Wi-Fiと珈琲の組み合わせ!気が利いてる。

きんちゃくって実は、中身によっておかずにも主食にもなる優れもの。…イカ?

鳥取特産の白ネギって、焼くと甘くておいしいんですよね〜

スナックって隠れ家的なイメージあるけどこれは超オープン。地元のおじちゃん達がふらっと飲んでて欲しい。

鳥取は地酒の宝庫!海×酒はどう考えても最高。

「海を眺めてたらどうしても3Dプリントしたくなった」そんな時にぜひ!

これで「シーコン(海での合コン)」も盛り上がること間違いなし!

結局こういうのが一番現実的!カクテル名に世代が出てる。

温泉といえばこれ!外で気軽に食べられるのが◎栄養満点のおやつにもぴったり!

夏の子どもにウケそうなインスタント恐怖!下の穴が色んな意味で怖い。

これは本当に欲しい!酔いがまわる前の真面目なアイデア。絵のクオリティも高い!

市役所の方が好き勝手なことをする突然あらわれる屋台。ぶっちゃけ相談会とかよさそう。

データで加工できる時代に、あえてのアナログフレーム!海をバックにどうぞ!

海で遊んでる家族を、浜で待ってるママにもおすすめ。

深夜の謎テンション作品。「こんな屋台は嫌だ大喜利」だと勘違いしてた?

夜の海とかにあったら雰囲気出そう。占ってみたい!

酔っ払いが集まって来そう。マジックって酔ってみると5倍くらい感動しない?

「厄除け」と「天ぷら」の塩を一緒にしてしまうという暴挙!

健康あっての海遊び!絵は雑だけどちゃんとした案。

おだんごは正義!「つらい」「エロい」あたりに深夜のテンションが見える。

完全に深夜のテンションから生まれた案。でも実際あったら一番気になるかも。

地元のおじいさんたちがやって来るのが目に浮かびます。

海遊びやトライアスロンは脱水に要注意!水が飲めるところがあるのは◎

どうみてもあの親父。目に刺さるの心が痛むけどすごく狙いやすそう。

子どもたちのチャレンジ屋台的にするのもよさそう。ほっこり。

海をバックにカラオケは絶対気持ちよさそう!…と思ったけど海しばりか…

突然の社会派屋台!

歌手志望の人は練習に、物思いにふけりたい人にとっては癒やしになって一石二鳥!

クラゲってぼんやり眺めてるだけで癒やされるよね。

ここだけのオリジナル印とか、ボトルメッセージとかあるとロマンチック!

働きすぎ。

アルコールを入れ、アイデアを出し、寝落ち寸前のダイイングメッセージ的メモ。

地元クリエイター女子の皆さんありがとうございました。

50案出すまで眠れません合宿の様子はこちら

「ぺちゃくちゃかいけ」は皆生のまちを楽しいまちにしていく作戦会議。

11月18日(土)10:00~米子市観光センターで開催します!!
今回のテーマは「皆生の T ライン」。

皆生温泉のエリアで重要な通りである海沿いの
遊歩道と四条通りを「 T 」の字に見立て、
未来の皆生温泉の4m超えの巨大模型を囲んで
より居心地の良い皆生温泉を「妄想」します。

当日会場で皆さまのご意見をお待ちしてます!!

たくさんの人の想いと活動で支えられている美しく、たのしい海

  皆生温泉ならではの魅力と言えば、やはりまず思い浮かべるのは温泉・海・砂浜・松林・大山などの、自然の魅力ではないでしょうか?それもそのはず、長い皆生温泉開発の歴史は、100年以上も昔に海辺で沸く湯の発見にさかのぼり、海・砂浜は切っても切り離せない特色です。そして、その環境は絶え間なく人の手をかけて守られてきた歴史もあります。
昭和初期には、たたら製鉄が廃れると共に、上流から皆生の砂浜に流れ込む砂が減り、急激に海岸線が後退しはじめました。護岸工事も行われましたが数年で崩れ、浸食との闘いはその後40年近くも続きます。そして、沖に平行の離岸堤が造られると、やがてトンボロと呼ばれる砂州ができはじめ、ようやく砂浜の後退を食い止める手立てが見つかります。こうして人の手で守られてきた皆生の海岸。現代でも様々な取り組みにより、美しく楽しい砂浜は守られています。特に、海水浴がはじまる夏前には様々な清掃活動が行われます。

今年は、7月6日、裸足で歩ける砂浜を残そうという趣旨で、鳥取県内各所で開催されている『鳥取県ホンダ会』さんの、大がかりなビーチクリーン活動も皆生のビーチで行われました。ホンダグループ従業員・関係者の方々や皆生温泉の関係者など総勢約120名もの参加者が集まり、また、Hondaが開発して、全国のビーチクリーンを巡って活躍している『ビーチクリーナー』も登場。

砂に埋まったゴミはしっかりと掻き出しながらも、砂の中の生き物への影響が少ないように配慮されています。人の手と、素敵な理念で作られたビーチクリーナーで、しっかりときれいになりました。「この活動がはじまってしばらくはそんなに人数が集まらない時期も長かった。しかし、最近はSDGsの浸透など社会の動きも加 わ り 、ビーチクリーン活 動にも注目が集まるようになってきた。それに伴って、関係者もやる気がどんどん湧いてきている。今後もこうした活動はぜひ継続していきたい」と鳥取県ホンダ会の金口会長も語ります。

美しく、たのしい海・砂浜はたくさんの人が関わって、初めて守られ実現できています。これからも、何年も何百年も先の世代にまで、今以上に美しく、たのしいビーチを、皆生温泉を受け継いでいきたいですね。

【令和4年度皆生海岸清掃実施団体】多くの方の清掃活動で砂浜は守られています(^^♪
●海と日本プロジェクト(株)m&m
●ボランティア団体未来
●環境を考える企業懇話会
●小さな親切運動山陰本部
●皆生温泉エリア経営実行委員会
●(株)チャイルドフォース
●軽費老人ホーム福原荘
●鳥取県自動車整備振興会西部支部指定事業者
●皆生温泉旅館組合
●鳥取県トライアスロン協会
●フィリップモリスジャパン山陰営業部
●米子グレートサウスライオンズクラブ
●ビーチスポーツパーク
●福米西小学校
●福生西小学校
●米子ボーイズ
●福生中学校
●ワンプライム(株)
●個人
※米子市役所に届け出のあった活動を抜粋してご紹介しています。

「孫さん、ウェルビーイングって何ですか?」

皆生温泉エリアで目指す「ウェルビーイング」。最近、いろんなところで耳にするこの言葉だけど、どんな意味なんだろう?「まち」「温泉」とどんな関係があるの?映画製作や即興劇、路上での健康相談など、様々な方法でウェルビーイングを高めるための活動を実践、研究する孫大輔さんに「ウェルビーイング」について連載していただきます。

ウェルビーイングってなんだ?

ウェルビーイング(well-being)という言葉が今、注目を集めています。健康や幸福の発展概念として、社会福祉・医療・心理などの分野で使われ、普及しはじめたものです 。しかし、最近では、政府による働き方改革の推進や価値観の変化なども背景に、ビジネス界など、多くの分野で用いられています。

ウェルビーイングは 、定訳がありません。単なる「健康」でもなく、happyであることの「幸福」とも違います。「福祉」と訳されることもありますが、福祉は「welfare(ウェルフェア)」という異なる用語があります。
心理学者のセリグマン博士によると、ウェルビーイングは一つの状態というよりは「構成概念」であり、少なくとも5つの要素を含みます、「ポジージメント」、「良好な関係性」、「意味・意義」、「達成」の5つです。セリグマン博士によると、ウェルビーイングは単なる幸福な状態とは異なり、「持続的な幸福」と深い関係があるそうです。

しかし、幸福・幸せとは何でしょうか。それは個人によって異なるものなのではないでしょうか。ここでは、個々人が何を幸せに感じるのかという「意味」が問われています。例えば、何らかの事故や病気で体に障害をおったとしましょう。そのとき、その人のウェルビーイングは損なわれたということになるのでしょうか?それでも、その障害を抱えたことで人生の深い意義に気づいたり、障害があるからこそ新しい挑戦ができるようになったという「意味」を感じることができたら、その人のウェルビーイングはむしろ向上したと言えるかもしれません。

古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、人間にとって最も価値の高い善きものとして「エウダイモニア(幸福)」という概念を述べています(『ニコマコス倫理学』)。ここでいう「幸福」とは、人間を人間たらしめる至上の価値であり、単なる快楽とは違います。快楽だけでは、人間は深い幸福に達することはできない。むしろ、心の中の神(ダイモン)に従って、良く生き、良く行為することが、真の意味での幸福と考えたのです。この「エウダイモニア」が、現在のウェルビーイングに近い概念だとも言えそうです。

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』には「ほんとうの幸い」という言葉が出てきます。「ぼくのおっかさんが、ほんとうに幸いになるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんの一番の幸いなんだろう」とカムパネルラは言います。本当の幸いを求める旅は、ウェルビーイングに通じているのかもしれません。

孫大輔 家庭医(総合診療医)/鳥取大学医学部地域医療学講座講師

新たに見えてきた皆生温泉の可能性と課題

  皆生温泉には、温泉・海・砂浜などの豊かな環境があり、それを活用した文化やスポーツなども生まれ、受け継がれ、山陰観光の拠点を担ってきました。でも、時代や環境の変化に合わせ、魅力を高めなければならない状況です。

そこで2021年8月、民間も行政も連携した組織「皆生温泉エリア経営実行委員会」が設立されました。皆生温泉の資源をしっかり活かし、暮らすわたしたちも、訪れた人も、関わる人もみんなが「肉体的にも精神的にも社会的にも心地いい=ウェルビーイング」なまちにもっとなっていくため、様々な社会実験や補助事業などを実施しています。そして、その活動をさらに加速してくため、2023年5月、実験的な取組みをカタチにしていく「カイケラボ」がチームとして発足しました。

チームには委員もいますが、昨年のエリアデザインスクール受講生や、社会実験の運営ボランティアから関わったメンバーなど様々です。カイケラボは、①エリアの課題を取り扱う勉強会の開催、②エリアの課題解決に向けた実証実験の実施、③まちづくりに関する情報発信、などを行い、皆生温泉に関わる人や、環境や、時間・・・などを健やかにしていくことで、豊かな次世代社会(=ウェルビーイングな状態)を実現していきたいと考えています。

カイケラボメンバーは職種も建築士やデザイナーなど多様!!

カイケラボメンバーは職種も建築士やデザイナーなど多様!!

 

今年度、具体的には、
①まちづくりスクールを拡大実施!!(昨年、まちの資源有効活用プレイヤー育成としてスタートしたスクールを、多コース化してさらに多様に!!)
②情報発信をグレードアップ!!(このカイケプレスもリニューアルし情報量UP!SNSやWEBも強化していきます)
③空き不動産活用事業を強化!!(空きスペースや空き物件への出店につなが取り組みを、頻度も体制も強化して実施)
④ぐるぐるかいけ&水一ひろばの実施強化!!(回数も実施コンセプトも充実し、低未利用地の利活用や関係人口増を狙う)
など工夫していきます。

健やかで豊かでたのしい皆生温泉は、みんなの関わりがあってこそ実現していけるものです。ですから、カイケラボはあくまでオープンなラボとして、誰もが関わりやすいラボにしていきたいと思いますので、ぜひぜひ関わってみてくださいね(^^♪

スクール受講募集も間もなくスタート!!おたのしみに!!

スクール受講募集も間もなくスタート!!おたのしみに!!