KAIKE lab. established 2022 Enjoy yourselves!

NEWS

2023.08.28

日本人の「もてなしの心」が繋いだネパールと皆生温泉

人の出会いと絆は、時に奇跡的な縁となり、深い友情や文化交流を生み出します。この記事では、ネパール出身のロクナス シルワルさん(愛称:ロクさん)の心温まる物語を紹介します。ネパールから日本への情熱的な想いを抱き、皆生温泉での素晴らしい経験から生まれた友情や地域の活性化の取り組みを通じて、どのようにして交流が育まれるかを探ります。

 

情熱と努力で築かれた日本との絆: ネパールから皆生温泉へ

日本との出会いと魅了】

ネパールのカトマンズ出身で、愛称は「ロクさん」と呼ばれるロクナス・シルワルさん。山岳ガイドや観光ガイドとしてネパールでの仕事を通じて多くの人々と交流し、人生を豊かにしてきました。しかし、ロクさんの人生に転機が訪れたのは1989年、福岡万博の時でした。3週間の仕事で来日し、そこで日本人のもてなしの心に触れ、日本への深い愛情を抱くようになりました。

帰国後、日本で働く夢を抱いたロクさんは、日本語学校に通い、1年間の努力の末、日本語を習得。その後、日本の文化、歴史、言語について独学で学びました。ロクさんの熱意と情熱は日本で働くという強い願望へと繋がり、ネパールの山岳ガイドのお客さんである日本人の友人に相談しました。そして、友人を通じて紹介されたのが、「特定非営利活動法人皆生ライフセービングクラブの代表 野嶋功さん」です。

野嶋さんは皆生温泉での様々な活動に尽力されている方で、ロクさんの夢を快く受け入れ、2004年の来日のきっかけを作りました。これが、新たな友情と絆の始まりです。

日本での新たなステップ】

野嶋さんの支援を受けて、2004年に皆生温泉海遊ビーチでのボランティア活動を通じて日本での新たな一歩を踏み出しました。

ロクさんの皆生温泉海遊ビーチでの仕事は「監視役」。安全を守る重要な役割を担っています。
この経験は、人生の中でも特別な意義を持つものとなりました。
野嶋さんは、ロクさんにとって尊敬すべきボスであり、同時に信頼できる友人になりました。皆生温泉での経験を通じて、たくさんの温かさに触れ、美しい自然環境に魅了される一方で、ますます日本への愛着が深まっていきます。

初めて日本の海を見たのは、福岡万博の際でしたが、その時は特別な感情はありませんでした。しかし、皆生温泉海遊ビーチで海と山の美しい風景を目にしたとき、そのパノラマの景色に感動しました。ネパールは内陸国であり、深い海を見る機会は少なかったため、海に入ることに最初は怖さを感じながらも、次第に海の魅力に掴まれていきました。

【友情と地域の活性化】

ロクさんの愛情はただ感じるだけでなく、行動に移されました。ネパールに戻り、区長や地域の人々と協力して、「皆生桜公園」を作るプロジェクトを立ち上げたのです。手作業で地面を整備し、桜の木を植える公園を一から創り上げるために、多大な努力をしました。

 

日々の作業は決して簡単ではありません。

ロクさんは日々の作業を通じて、その地域の人々と共に努力し、夢を実現するための基盤を築いていきました。手で掘り起こされる土、一つひとつ丁寧に植えられる草花の苗。そのすべてが、ロクさんの決意と愛情の証でした。

そして、その地道な努力が実を結びました。10年間にわたる取り組みの末、皆生桜公園はついに実現したのです。

※こちらの写真は、公園に植える桜の木を野嶋さんによってネパールまで運ばれた際の植樹祭の写真(2018年2月4日)

野嶋さんの手配によってネパールへ運ばれた桜の木が誇らしげに植えられ、その美しい花が咲き誇っています。公園は、地域の人々や遠方からの訪問者にとって魅力的な場所となり、地域全体の活性化に貢献しています。今ではその桜の花が咲き、その公園は、地域の人々や観光客に愛される名所となり、地域の活性化に繋がっています。
また、レストランや屋台なども開店され、地域の発展に寄与し、地域住民の生活も豊かになりました。

ロクさんの夢と野嶋さんの協力が、新たな可能性を広げ、地域を繁栄させていったのです。

 

【絆の証】

今年の夏、ロクさんは5年ぶり6回目の来日を果たしています。

新型コロナウイルスの影響により、ネパールはロックダウンとなり、日本への思いを育むために積極的にしてきた日本人との交流や言語や文化に触れる機会が奪われてしまいました。この突然の変化によって、寂しさを感じることが増えました。

ついに訪れた今回の来日は、まさに今までにない特別な時間となりました。
コロナ禍の間に感じた寂しさを胸に、再び皆生温泉での素晴らしい瞬間を迎えることができたのです。日本への熱い想いと、皆生温泉への強い絆が、この特別な瞬間をより輝かせました。

野嶋さんとの再会、ライフセーバーの仲間や皆生温泉海遊ビーチからの景色は温かさと喜びをもたらしました。

そして、出会いから20年目を迎える今年。ロクさんの物語はまさに時間と絆の重みを感じさせます。
日本との交流、皆生温泉での素晴らしい瞬間、そして友情という宝物が、これからも輝き続きます。

 

【もうひとつの証】まだ幼少だった息子さんも一緒に来日し、日本の文化や習慣に触れる機会を得てきました。その結果、息子さんも日本への深い興味を持ち、日本の魅力に引かれるようになりました。現在では、その興味と努力が実を結び、日本の企業で働いています。親子二代で日本との絆を持ち続け、それぞれの方法で日本との関わりを築いている姿は、まさにロクさんの努力と情熱が未来に繋がっている証しと言えるでしょう。

インタビューが終わると、ロクさんが作ったカレーでもてなしてくれました。このカレーには、ネパールから持参されたお米が使用されており、ネパールの温もりと日本の味わいが融合した一品です。
これは、ロクさんの心温まるおもてなしの心情を表現しているかのようで、異国の文化への愛情が、ひとときの共有として伝わってきます。

【最後に】

この物語は、情熱と努力が生んだ絆の証です。ロクさんの日本への愛情と野嶋さんの温かなサポートが、新たな友情を紡ぎ、地域の活性化をもたらしました。そして、その絆は時を経て輝き続け、二代にわたって日本との関わりを育んでいます。ロクさんの心からのおもてなしは、異国の文化と愛情が深く結びついた証しであり、次世代への架け橋となりました。