海があって、温泉があって、人があったかい。 皆生温泉を語る、山田ちゃーはんの視点
海と温泉の街・皆生温泉に笑いを運んでいる人がいる。
タレントでお笑い芸人である、Uターンで地元に戻り、現在は「ラフラフ シーサイドカフェ」を運営する山田ちゃーはんさん。
子どもの頃は深く関わることの少なかった皆生温泉が、大人になって帰ってきた今、まったく違う景色で目に映っているという。
そんな山田ちゃーはんさんに皆生温泉のことについて色々と語っていただきました!
海と温泉と人がつくる、のんびりした“帰り道みたいな街”
Uターンして久しぶりに皆生に戻ったとき、ちゃーはんさんの口から出た最初の言葉は
「なんか…いい街やん。」
これに尽きるらしい。
海はきれいで、人はあったかいし、温泉は街のど真ん中にある。
観光地なのに、生活のにおいがちゃんと残ってるのが皆生温泉の面白いところ。
浜辺では子どもが全力で遊んでて、若い子たちはベンチでチルしてて、旅館からは浴衣姿の人が湯上がりにふらっと散歩。
その全部がひとつの風景として成立してしまう“ゆるさ”がこの街の魅力。
あと…この街は“余白”がいい、と続けます。
「余白がある街って、アイデアが入りやすいんですよ。イベントもできるし、小さなお店も始められる。皆生温泉は、その余白がまち全体に広がってる」と。
その余白に、ちゃーはんさんの笑いと温もりが今の皆生温泉に置かれている気がします。

カフェは“出会う場所”。自然体のまま街のPR部長みたいになっていく
「みんなが皆生温泉を好きで、勝手に良くしたいって思ってるんですよね。その“勝手に”がちょうどいいんです。」
ちゃーはんさんは、こういう“ゆるい熱さ”が皆生温泉に関わる人の良さだと感じているそう。
それぞれが、それぞれのやり方で街を面白くしようとしていて、そこに無理がない。
肩肘張らずに混ざれる感じが、居心地の良さに繋がっています。
自身が運営する「ラフラフシーサイドカフェ」も、その延長線上にある場所。
店で人と出会って、たわいない会話の中で皆生温泉の魅力をぽろっと伝える。
大げさな仕掛けじゃなく、ふとした瞬間に“じわっと広がる温度”を大事にしているという。
気づけば、観光客も地元の人もふらっと立ち寄れる“交差点”みたいな存在。
ちゃーはんさん自身も、気張らずに街のPR役を担っていくれています。

皆生温泉を“鳥取県の入口”にしたい。そんな素直な未来図
ちゃーはんさんは今、皆生温泉が“鳥取県に来る最初の一歩”になれる未来を思い描いています。
「県外から来た人が、まず皆生温泉に立ち寄ってくれたら嬉しいですね。
『明日どこに行けばいい?』と聞かれたときに、胸を張って案内できますから。」
皆生温泉だけで旅を終えるのではなく、ここを起点にして鳥取、そして山陰全体を楽しんでもらえるようにしたいと考えています。
その想いには、この街だけでなく広い視野で地域を盛り上げたいという願いが込められています。
「山陰って、まだまだ知られていない魅力がたくさんあるんですよ。
地元だからこそ、自分の言葉でおすすめできる場所もいっぱいあります。
まず皆生で出会って、そこから“あそこも良いですよ”“ここも行ってみてください”って伝えられたら嬉しいんです。」
旅行者にとって皆生温泉が「最初に出会う案内人」になり、ちゃーはんさん自身もそのガイド役として、自然体のまま地域の魅力をそっと手渡していきたい。
そんな未来を描いています。

みんなで“ひとつのPR”をつくるという発想
そのために、ちゃーはんさんが提案したのが「街全体でつくるPR動画」です。
「ひとり一人が好きな皆生を撮影して、それをつなげて一本の映像にしたいんです。」
撮る人が変われば視点も変わります。
海を映す人、夕暮れの温泉街を映す人、ふらっと立ち寄るカフェの時間を切り取る人。
その多様な角度が混ざり合うことで、“ありのままの皆生温泉”が浮かび上がってきます。
「一本の映画ではなく、みんなの日常をつなげた映像。
それがいちばん皆生らしいと思うんです。」
そんな風にちゃーはんさんは笑顔で語ります。
大げさな演出はいりません。
それぞれが日々見ている景色こそ、皆生温泉の魅力そのもの。
その連続でできるPRこそ、この街が持つ温かさと楽しさを一番やさしく伝えてくれる方法なのかもしれません。

“温泉街で運動会”とか言い出すのが、ちゃーはんさん
ちゃーはんさんの話を聞いていると、突然とんでもなく面白いアイデアが飛び出してきます。
そのひとつがこれです。
「温泉街で運動会したらめっちゃ面白くないですか?」
旅館の人も、観光客も、地域の人も関係なくごちゃ混ぜで走り回る。
海辺で玉入れ、温泉街でリレー、四条通りで大縄跳びや綱引き。あとは、街全体を使った借り物競争とか!!
想像するだけでちょっと笑ってしまいます。
真面目にまちづくりを考えているのに、どこか遊び心があって、
ふざけているようでいて、ちゃんと“街の未来”を見ている。
そのバランス感覚が、皆生温泉をもっと面白い方向へ連れていくのだと感じます。

そのユーモア、どこから来るの?と気になって、発想の源について聞いてみると、ちゃーはんさんは少し照れながら話してくれました。
「角度を変えて物事を見るクセがあるんですよね。
普通じゃないほうに、面白さが隠れてると思っていて。」
その視点のクセには、しっかりとしたルーツがあります。
芸人として活動していた頃、強く影響を受けたのがダウンタウンさん。
「世の中の見え方を“ちょっとズラす”感じ。
あの視点の遊びみたいなものが、自分の中にずっと残っているんです。」
まちづくりを語る口調は真面目ですが、どこか軽やかで楽しそう。
ちゃーはんさんのアイデアは、“素直な好奇心”と“少し外側から眺める視点”から生まれているように感じられます。

その視点を、次の世代に渡したい。
ちゃーはんさんは、この「ズラした視点」や「面白がる気持ち」を次の世代にも繋げていきたいという。
「面白いと思う気持ちを、バトンみたいに次の人に渡せたらいいですよね。」
皆生温泉に集まる人たちが、それぞれの視点でこの街を遊び、楽しみ、発信していく。
ここには面白い人が自然と集まってきます。
その連鎖が続けば、未来はもっと面白くなるはずです。
終わりに|帰ってきたくなる街の、これから
海があって、温泉があって、ゆるく混ざり合う人たちがいる街。
そこにちゃーはんさんのような視点を持った人がいることで、皆生温泉はさらに新しい形へと進んでいきます。
この街の未来は、まだまだ面白くなりそうです。
私も、その変化を一緒に楽しんでいきます。
皆生温泉が、誰かにとっての“帰り道みたいな街”であり続けますように。
